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退職を抑制するためには、退職理由を把握しましょう

多くの企業が人手不足で頭を悩ませている昨今。
「採用」は次の打つ手を考える上で非常に重要な施策のひとつです。

しかし、人手不足解消のために「採用」を行ってもなかなか根本的な問題は解消されません。
人手不足解消のためには、採用と同じく重要な「人材定着」を行わなければならないからです。

しかし、なかなか人が根付かずに人員補充のために採用をするのでは後手後手に回ってしまい、採用の労力だけ無駄にかかってしまうということも・・・

そんな状況を防ぐためにも「定着」は重要なのですが、今回は退職理由から「定着」を促進するための方法を考えていきたいと思います。

退職理由はどんなものが多いのか

厚生労働省が発表している「雇用動向調査」の平成29年度版を見てみましょう。

男性の退職理由トップ5は

  1. その他の理由(出向含む)・・・23.4%
  2. 定年、契約期間満了・・・17.8%
  3. 労働時間、休日等の労働条件が悪かった・・・12.4%
  4. 給料等収入が少なかった・・・11.0%
  5. 会社の将来が不安だった・・・8.9%

女性の退職理由トップ5は

  1. その他の理由(出向含む)・・・22.9%
  2. 労働時間、休日等の労働条件が悪かった・・・14.7%
  3. 職場の人間関係が好ましくなかった・・・13.0%
  4. 定年、契約期間満了・・・11.5%
  5. 給料等収入が少なかった・・・10.5%

このような順となっています。

このデータから何を読み取るか

出向による便宜上の退職や定年退職等はやむを得ない部分もあるかなと思いますので割愛いたします。

このデータを大別してみると、

1 労働時間や休日などの就業条件面
2 収入面
3 人間関係などのソフト面

にわけて解説できるかと思います。

なお、実際のデータは各年代ごとに分かれていますので、そちらをじっくり眺めてみることをオススメします。

まず、1点目の「就業条件面」です。

ここ最近は法整備が進み大企業から働き方改革が始まってはいますが、未だに長時間労働や休日返上の働き方が行われていることは否めません。特に、人手不足な業界、職種などは長時間労働傾向に拍車がかかり、悪循環となっているケースも多く見受けられます。

もちろん、会社は生き物ですから、利益が発生しなければ生き残れません。しかし、その利益を得るために従業員個人の「頑張り」に依拠しているようでは結果的に人が辞めていってしまうということに。

なぜ長時間労働が発生しているのかという原因はそれぞれの企業で異なるかと思いますが、その原因を把握しているのか?というのが大きなカギになるかと思います。

当社の別コラムでも記載していますが、働き方改革は「できることから着実に」実行していくことが肝要です。従業員が疲弊しないような組織づくり、仕組みづくりは「退職抑制」「人材定着」という正の循環を生みます。就業に際して、従業員がどれくらいの負担を感じているかなどはすぐにでも把握できる項目ではないかと思います。

続いて、2点目の「収入面」について。

こちらについては、すぐに改善というのは難しいかと思います。

また、一口に収入面と言っても従業員一人ひとりで状況が異なりますので、全体を確実に満足させられる給与体系というのは現実的に難しいという問題もあります。

しかしながら、最低限「賃金の未払い」などが発生しないようにすること。中期的な視点から給与体系の見直しを行うことなどは行っていくことが求められます。

特に、給与だけを見直しても効果が薄いというケースもありますので同時に人事評価制度も見直してより従業員の満足度が高い給与体系を作り上げていくことは必要な視点であると言えるでしょう。

最後に、3点目の「人間関係」について。

実は、人間関係で悩んだ上での退職というのはかなり多いです。この厚労省発表の数字以上に体感的な数字は多い。

上司との人間関係、同僚との人間関係、後輩や部下との人間関係などは働くうえで誰しもが感じる「嫌だなあ」というポイントです。

通常、どこかで折り合いをつけながら働くことになりますが、不満の種としては根強く残ってしまいます。

定期的に面談などを行い、異動や転勤などが行われやすい環境であるのならまだしも、多くの企業(特に中小企業)ではそのような余裕はなく人間関係は硬直しがち。

一度生じた「不快感」というのはなかなか払拭されずに、むしろちょっとしたことで増殖していきますので、硬直した組織では人間関係の不満は解消されません。

ここも中期的に組織のバランスを見ながら改革していくことが求められますが、人間関係の中でも「ハラスメント」だけは放置してはいけませんのでご注意ください。

トップマネジメント層からのハラスメントは言語道断ですが、トップマネジメント層がハラスメントを放置しているというのも大問題です。

相談窓口の設置、対応の周知、罰則規定の周知などハラスメント対策で取るべき措置は必ず行うようにしましょう。対応方針を明確にしているだけでもハラスメントへの抑止力となりますし、従業員に対する安心感をもたらすことができます。

最大の問題は「退職理由」を把握してないこと

ここまで厚労省のデータに基づいて話をしてきました。
前述の通り、「退職」を抑制し「定着」を促進するだけで不要になる採用もあります。
しかし、人材の定着はなかなか即効性のある施策が打ち出しにくく、時間をかけて取り組む必要があるのも事実。
ついつい後回しにしてしまって、気づいた時には人手不足・・・ということも十分に考えうることです。

こういう状況に陥らないための重要なステップが「ヒアリング」です。
従業員に対しての現状把握はもちろんですが、退職者に対しての退職理由のヒアリングというのが重要になってきます。

当然、辞めるという選択肢を選んだ方が素直に話をしてくれるかは微妙なところではあります。特に、『不満』にもとづいて退職する方は正直に話をしてくれる可能性は低いでしょう。

しかし、「退職理由」を把握することで、

・不満足だったポイントを把握できる
・それをもとに「定着」につながる施策を検討することができる
・生の声にもとづいた施策なので、ズレにくい

といった次に働いてくれる人のための環境を作るきっかけになります。

当社キャリアフルコースでは、このような「退職理由」のヒアリングや従業員の方々へのヒアリング、それに基づいた組織活性化の業務なども行っています。
「忙しくてなかなかそこまで手が回らない」という場合、当社が代わりにヒアリングを行います。
直接会社の人へ言えなかった不満も第三者には言えたりするものです。

人手不足や人材の定着でお悩みの企業の皆さま、ぜひご検討ください。