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知っておきたい!退職後の手続き~公的な手続き編~

以前、退職の手続きとして、会社内の手続きを簡単にご紹介しました。今回は、その続きともいえる必ずおさえておきたい公的手続きについてご紹介しましょう。

公的と言われると、ちょっと難しそうに感じるかもしれませんが、出来るだけ簡単に説明します。受けられるサービスをしっかり受けるためにも、忘れずに届け出をしましょう!

そもそも、公的な手続きが必要なのはどんな人?

そもそも、すべての人に公的な手続きが必要なわけではありません。

不要な人 … 転職先が決まっている人 ⇒ 会社内手続き編をご覧下さい!
必要な人 … 退職してから転職活動をする人 ⇒ 続きをどうぞ!

なぜこのように分かれるかというと、

・会社を退職 = 健康保険、厚生年金保険などの被保険者ではなくなる

 

A:転職先が決まっている = 次の会社が手続きをし、健康保険、厚生年金保険などの被保険者となる
B:転職先が決まっていない = 健康保険、厚生年金保険などの被保険者でない状態が続く

こういう状態に分かれます。

Bの状態のままでは、各種保険が受けられないため、退職者が自分で手続きをしないといけないというわけです。

具体的な手続きについて

さて、公的な手続きをしなければならないのはわかったとしても、「結局、何をどうしたらよいかわからない!」そんな声が聞こえてきそうですね!

それでは早速、具体的な手続きをみていきましょう。
手続きは大きく分けて4つあります。

  • 1.失業保険の給付手続き
  • 2.健康保険の変更手続き
  • 3.年金の種別変更手続き
  • 4.税金の支払い手続き

各手続きの詳細を説明しましょう。

1.失業保険の給付手続き

提出期間             … 離職票が交付され次第、できるだけ早めに対応
提出先・場所  … 居住地を管轄するハローワーク
準備物・提出物 … 雇用保険被保険者証、離職票1、離職票2、身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)、印鑑写真2枚(直近3ヶ月以内、縦3cm×横2.5cm)本人名義の普通預金通帳

POINT
失業給付金を受け取るには、ハローワークに求職の申請をした上規定の条件を満たさないと受給することはできないのです。

規定の条件とは
(1)失業状態であること
(2)退職日以前の2年間に雇用保険加入期間が通算12ヶ月以上あること
(3)ハローワークに求職の申し込みをしていること
この3点です。

給付額や取得開始時期は状況によって異なる
退職理由(自己都合の退職か、会社都合の退職か)や退職前6ヶ月間の賃金によって異なります。

給付までの流れ
(1)ハローワークで求職の申し込みと離職票の提出
(2)7日間の待機期間
(3)雇用保険受給説明会と失業認定日に出席
(4)1週間程度で初給付
(5)以降は4週間に一度の書類申請と面談を実施。その後約1週間程度で給付

2.健康保険の変更手続き

退職後には通常、以下の3つから選択することとなります。いずれも医療費の一部負担金は3割です。保険料や手続きの方法・場所、提出書類などが異なりますので注意してください。

(1)健康保険の任意継続被保険者制度を利用する

提出期間日           … 退職してから20日以内
提出先・場所    … 会社または健康保険組合(郵送でもOK)
準備物・提出物 … 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書

POINT
退職後も今までと同じ健康保険制度に引き続き加入することができます。任意継続被保険者になる条件は健康保険の被保険者期間が退職の日までに継続して2ヶ月以上あること2年間を限度として加入することです。

手続きの期限として、退職した日の翌日から20日以内に加入していた健康保険の保険者へ届け出を忘れないようにしましょう。

(2)国民健康保険に加入する

提出期間日   … 退職してから14日以内
提出先・場所  … 居住地の市区町村役所の健康保険窓口
準備物・提出物 … 健康保険資格喪失証明書、各市町村で定められた届出書、身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)、印鑑

POINT
加入手続きは、退職日の翌日から14日以内に居住地の市町村で行ないます。場合によっては退職日を確認する資料として退職証明書等の提出を求められることもあります。

(3)家族の扶養に入る

提出期間日   … 早ければ早いほどよい
提出先・場所  … 家族の勤務先
準備物・提出物 … 世帯全員の住民票(被保険者と別姓の場合)、源泉徴収票、退職証明書または離職票のコピ、失業保険や年金を受給している場合は、受領金額のわかるもののコピー

POINT
家族が加入する健康保険の被扶養者になります。
条件として「主として被保険者に生計を維持されている3親等以内の親族であり、年収130万円未満(60歳以上や一定の障害者は180万円未満)であること」などがあります。

加入手続きは、被保険者である家族の会社を経由して保険者に届出をします。健康保険組合によっては、必要な添付書類や独自の認定ルールがある場合もありますので、事前に確認しておくことをおススメします。

3.年金の種別変更手続き

国民年金の被保険者には、3種類あります。
(1)第1号被保険者 …20歳以上60歳未満の自営業、農林漁業、自由業、フリーター、学生、無職の人など
(2)第2号被保険者 …厚生年金や共済組合などに加入している会社員、公務員など
(3)第3号被保険者 …20歳以上60歳未満の厚生年金や共済組合の加入者に扶養されている妻もしくは夫

在職中は第2号被保険者でしたが、退職すると第1号または第3号被保険者に種別変更をしないといけません。

・第1号被保険者に切り替える
提出期間日   … 退職してから14日以内
提出先・場所  … 居住地の市町村役場
準備物・提出物 … 年金手帳、離職票または退職証明書、身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)、印鑑

・第3号被保険者に切り替える
提出期間日   … できるだけ早く
提出先・場所  … 家族の勤務先
準備物・提出物 … 国民年金第3号被保険者該当届、世帯全員の住民票(被保険者と別姓の場合)、源泉徴収票、退職証明書または離職票のコピー、失業保険や年金を受給している場合は、受領金額のわかるもののコピー

POINT
第3号に切り替えるためには、配偶者が第2号被保険者であること退職者の収入が年収130万円未満(60歳以上や一定の障害者は180万円未満)であることという条件を満たす必要があります。
加入手続きは、配偶者の会社を経由して年金事務所で行ないます。

4.住民税の支払い手続き

手続き方法は退職月によって異なりますので分けて説明します。

(1)6~12月に退職した場合

退職月分の住民税は天引きされます。以降の分は自分で納めることになります(=普通徴収)。その場合は退職する企業で、「退職に伴う普通徴収への切り替え」を行なってもらいましょう。納付方法としては、一括か分割かどちらかを選ぶことができるので、ご自身の状況や性格を考えて決めると良いでしょう。

分割にして支払いを忘れてしまったなんてこともたまに聞く話ですからね!

(2)1~5月に退職した場合

前々年の住民税(5月までの分)を一括で天引きされることになります。3月に退職した場合は、3月~5月分を、1月に退職した場合は、1月~5月分が一括で納付されることになります。手取りの給与額が毎月のものより少なくなることが多いので、事前に確認しておかないと、大変なことになる場合も!

まとめ

出来るだけシンプルにまとめたつもりですが、正直わかりにくい内容だと思います。公的手続きとか役所が絡むことって「本当に日本語か?」ってぐらいわかりにくいですよね!

筆者も人事関係の業務をするまではよくわかってなかったですしね 笑

実際に手続きする際には会社の人事部や役所の人にいろいろ聞いて手続きを行えばよいので、詳細まで知る必要はないと思います。

ただ、何をするべきか、しておかなければならないかを知っておかないと大きな損に繋がることもあります。

また、手続きを理解していれば、役所でかかる時間を大幅に短縮できたりもします。

せっかく税金を払ってるんだから、国のサービスは有効活用しておかなきゃ損ですよ!

必要な手続きを済ませ、必要なサービスを受けながら、次の会社をじっくり探してみるのも、人生においては有意義な時間だと思いませんか?