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ブラック企業の手口

前回、残業時間の基本的なルール確認しました。今回は、その内容を踏まえ、ブラック企業にありがちな手口をご紹介していきましょう。

1.36協定締結について

(1)そもそも36協定を締結していない・労働基準監督署に提出していない

何も言うことはないですよね。どちらも違法状態です。この36協定を締結し、労働基準監督署に提出してようやく残業を「やっても良い」になるんでしたね。
締結・提出しない理由として、「締結するのが面倒」「残業させるのに36協定が必要と知らない」等がありますが、どのような理由があったとしても、法律違反をしている会社はブラック企業である可能性は高いと思いま

(2)労働基準監督署に提出した内容の36協定を社員が知らない

36協定は、締結した内容を社員に周知しなければなりません。ここでいう「周知」とは、見やすい場所に貼りだしたり、社員に配布することを言います。簡単にいうと、社員が「知っている」状態にしないといけません。
つまり、自社の36協定を知らないという方は、この「周知」がされていない可能性が高く、ブラック企業である可能性も高まります。

2.割増賃金・残業時間について

タイムカード等の勤怠記録を作らないで、従業員が働いた証拠を隠そうとする手口です。証拠がないので、当然のように残業時間に対する給料は支払われません。
かなり悪質な手口ですが、働いてる方も気づきやすいはずです。

(1)残業時間の記録がない

タイムカード等の勤怠記録を作らないで、従業員が働いた証拠を隠そうとする手口です。証拠がないので、当然のように残業時間に対する給料は支払われません。
かなり悪質な手口ですが、働いてる方も気づきやすいはずです。

(2)サービス残業をさせる

サービス残業をするのは当然という空気を作り出している会社は未だに存在します。
「サービス残業で仕事を覚える」「給料分の働きが出来てないからサービス残業をするべき」などの良くわからないことを言われます。また、残業しないと終わらない仕事量があることを知りながら、「残業の指示をしていないのに勝手に残業した」として残業時間としてカウントせずサービス残業にする場合もあります。

仕事を覚えるのも仕事の内ですし、それを教えたり給料分の働きが出来るようにサポートしたり、業務配分するのが上司の仕事のはずだと思うのですが…

やって当たり前という空気感を作られることが多く、「おかしい」となかなか言い出せないケースも多いでしょう。
このようなケースの場合、洗脳に近いときもあるので、「おかしい」と気付かないことさえあります。

(3)仕事を持ち帰らせる

これもサービス残業と言えるのですが、案外知らずにやってる人もいます。
部下の残業が多いと言われた上司が「会社でやらなければ残業ではない」などと言い出すこともあります。どこでやろうと、仕事を時間外にやったのであれば、立派な残業です。

(4)間違った「みなし残業」処理を行っている

みなし残業自体は違法行為ではありません。間違った処理が問題なのです。
問題のあるみなし残業処理とは、定額の残業代が支払われていても、実際の残業 が定額分より多いのに、多かった残業分について支払われない状態です。

例えば、25時間分のみなし残業手当が出ており、30時間残業をしたが、追加の残業手当がもらえなかった場合などです。
みなし残業手当が何時間相当かを聞いたときに、ちゃんと説明してくれない場合はブラック企業である可能性はかなり高いです。

(5)名ばかり管理職

雇われ店長問題で大きく取り上げられていたので、知っているの方も多いかと思います。法律上の「管理監督者」にあたる人には、会社は残業代を払わなくて良いということになっています。しかし、この場合の「管理監督者」とは

①各部署・部門を統括する立場にある
②企業の経営に関与している
③自身の裁量で労働時間がコントロールできる。
④賃金面で十分な待遇がされている。

といった要件が必要になります。

ご自身の置かれた状況を一度確認してみて下さい。管理職と言われて残業手当をもらってないのに、遅刻で給与から引かれたことがある等あれば、このケースに当たるかもしれません。

(6)30分単位・15分単位のカット

これもよくある話ですが、「うちは残業時間15分単位だから」とか「残業は30分切り捨てね」とか言われるケースがあります。はっきり言って違法です。そもそも、残業時間は1分単位で計算する必要があります。

確かに、1ヶ月の残業時間を合計したときに、30分単位で四捨五入することは認められていますが、この内容を勘違いし(もしくはわざと間違え)、1日単位の残業計算を切り捨てていることがあるからです。

勘違いなら経営者に相談すれば支払ってくれる可能性もありますが、「わざと」間違った説明しているような会社であれば、ブラック企業と言えるでしょう。

まとめ

残業手当の支払いについては、上記以外にも様々なケースがあるかと思います。ブラック企業は、様々な手口で何とか残業代を支払わずに社員にサービス残業をさせようとします。


ご自身の会社に心当たりのあることは無いでしょうか。もし心当たりや疑問に思うことがあれば、一度確認してみると良いでしょう。よくわからず、何となく疑心暗鬼のまま働き続けるより、はっきりさせて理解した上で、会社に残るのか、転職するのか、ご自身の身の振り方を決めた方がより良い社会人人生になるのではないでしょうか。

ただし、確認の仕方一つでご自身の立場や今後の対応策にも影響が出る可能性があるのも事実です。そもそも現状は違法状態なのか、どのように確認したら良いか等、気になることがあり、少しでも有利に進めたいという考えがあるのでしたら、お気軽にご相談ください。