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労働時間と働き方

「生産性」という言葉があります。
1人あたりの仕事の成果や時間あたりの成果などを測る上では欠かせない指標の一つです。
日本は、主要先進国の中ではあまり生産性の高い国とは言い難い状況が長年続いています。

かつて世界を席巻した日本の働き方も、バブル崩壊以後はなかなか世界的な評価を得られていないのが悲しいけれども現実です。

このような現実に対して、日本もようやく本腰を入れて改革に乗り出そうとしています。
それが「働き方改革関連法」の骨子でもある訳ですが、競争が激化しており既にいっぱいいっぱいという中小企業がどこまで取り組めるかは疑問符も付くところでしょう。

さて、そんな中先日フィンランドの首相が「週4日6時間勤務」というビジョンを打ち出しました。
もちろん、実際に導入するにあたっては多くの乗り越えるべきハードルがあるかとは思います。
しかし、国のトップが「労働時間」と「生活環境」のバランスを積極的に是正していこうとしているのは好感が持てます。
今回は、私たちの働き方に大きく関わってくる「労働時間」についてのお話です。

日本の働き方はどうだったか

日本は、製造業を中心とした「モノ作り」で世界との競争を制してきました。
明治時代以降日本が近代化する上で製造業が果たした役割は大変大きく、まさにモノ作り大国だったのが日本です。

現在はその勢いにやや陰りがあるものの、間違いなく日本を世界トップの国に押し上げた原動力は「モノ作り」でしょう。
「モノ作り」においては、とにもかくにも完成品を作ることが求められます。
その個数に対して「どれくらいの人間を動員したか」「どれくらいの時間を要したか」という点で「生産性」を把握していきます。
去年より人員は増えているのに完成品の数は減っていれば「生産性」は低下していますし、完成品の数は変わらないけれどかかった時間が減っていれば「生産性は向上している」という具合です。
人と時間と成果物の関係が比較的理解しやすいかと思います。

しかし、目に見える完成品に基づいて「成果」を把握できる「モノ作り」に比べると、現代社会はもっと複雑です。
サービス業や知的労働が主力となっている中「そもそも何をもって成果とするか」という定義からしてあやふやなまま仕事をしなければいけないという事もザラです。

がむしゃらに人数や時間をかければ成果物が増えるという訳でもないため、製造業を中心とした「モノ作り」で培ってきたマネジメントが通用しなくなっているのも仕方のないところです。

労働時間と働き方

実際にフィンランドのように「週4日、1日6時間」という働き方を導入したらどうなるでしょうか?
これまで通りの成果を出すためには、かなりの業務効率化が必要になってきます。
これまで5日×8時間=40時間だったのが、4日×6時間=24時間。なんと16時間も減っています。

これまでの働き方では到底不可能に見える数字です。

ところが、日本マイクロソフトが実験的に週4日勤務を導入したところ生産性はむしろ向上したというニュースも最近話題になっていました。
「そんなのはマイクロソフトのように人材が潤沢にいて、ノウハウも沢山ある会社だからだろう!」と思われるかも知れません。

1週間あたり40時間の通常業務に加えて、残業を何時間でもしながら成果を出すのがこれまでの働き方でした。
今後、働き方改革によって残業時間の上限が設定されます。
成果が出るまで何時間でも残業して働けばいいというマインドセットは通用しなくなります。

今後は、限られた時間でどのような成果を出すのか。
これまで定義していた「成果」が実際に正しいのかというもっとシビアな次元で考えながら経営のかじ取りをしていく必要にかられることになります。

多くの中小企業は、「そんな余裕ないよ・・・」というのが本音でしょう。
しかしそれは、「自分たちはマイクロソフトにはなれない」という思い込みが蓋をしているだけではないでしょうか?

もしこのような考え方であれば、マネジメントスタイルが「モノ作り」時代のままで止まっていると言わざるを得ません。

営業で例えてみましょう。
必ず100件アポイントを取れば1件は獲得できる。だから、100件のアポイントをいかに効率よく獲得するか。
このような考え方は、「モノ作り」時代のマネジメントスタイルです。

この世に「確実なこと」などはありません。
数撃てば確率は高まるかも知れませんが、そのような考え方が業務のムダでを生んでいる可能性はないでしょうか?

これまでの常識を疑うことから改革は始まります。

思い込みというのは人間の可能性に蓋をするからです。

これからの時代に求められるのは、「モノ作り」で培ったノウハウを生かしながらも斬新なスタイルのマネジメントなのです。
「なぜこれをするのか?」「どうやればいいのか?」というのを経営者も従業員も一体となって模索していかなければいけません。

最初から「できっこない」で従来通りのマネジメントに甘んじていれば、働き方改革など「できっこない」のです。

もちろん、日本で「週4日6時間勤務」がスタンダードな働き方になるのはもっと先の話でしょう。
まずは、目の前の働き方改革の波をとらえて、これまでのスタイルから脱却していくのが優先です。

その先に、「週4日」がスタンダードな社会が到来しているかも知れません。
どうせ思い込むなら、「できっこない」と思い込むよりも「できる」と思い込んで何事にもチャレンジするような社会を歓迎したいものです。

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