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退職後〇年間は同業他社への就業禁止!競業避止義務は有効か?

皆さまの中にも、入社時や退職時に誓約書に署名・捺印させられたという方は多いでしょう。
その中でも、退職後に問題となってくるのがタイトルのような「退職後一定期間同業他社への就業を禁止する」というものです。
これは、一般的に「競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)」といいます。

今回は、この競業避止義務について考えてみたいと思います。

競業避止義務とは

競業避止義務とは、何でしょうか。
Wikipediaには『一定の者が、自己または第三者のために、その地位を私的に利用して、営業者の営業と競争的な性質の取引をしてはならない義務である。』と記載されています。
これだけ読むと何だかさっぱりですが、要するに在職中の副業を禁止したり、退職後に同業他社への就業を制限したりすることです。

転職してすぐにライバル企業(競業企業)に自社のノウハウや情報を盗まれることを防ぐための規約となります。
これに違反した場合、例えば、退職金を減額したり会社が損害賠償を請求したりするというのが一般的なパターンでしょうか。

しかし、少し考えていくと私たちが知っている知識との矛盾に気づく方も多いでしょう。

そう、日本国憲法には「職業選択の自由」が保障されているのです。

競業避止義務は有効か?

何気なく誓約書にサインしてしまった結果、転職活動に思わぬ支障を来してしまった・・・という方もいらっしゃるでしょう。
ライバル企業からヘッドハントされた場合などは戦々恐々としてしまう方もいらっしゃるかも知れません。

この競業避止義務についてですが、争点となるのは果たして有効か否かです。

先にも述べた通り、日本国憲法22条には職業選択の自由が記載されています。

日本国憲法第22条第1項

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

このように、基本的には誰しもが職業を自由に選べることが明記されています。
もちろん、全くの自由という訳ではありません。
例えば、資格がないとできない仕事やきちんと届出をしないとできない仕事などもあります。
これらは、何か起きたときにみんなに迷惑をかけてしまう可能性がある仕事などです。
こういうケースを除けば、基本的には職業選択の自由は保障されていると考えていいでしょう。

という訳で、競業避止義務は憲法違反!
全く考慮せずに自由に転職してたらいいんです!!

と言いたいところですが、そう簡単な話でもありません。
この競業避止義務は裁判でも争われており、いくつか判例も出ています。

非常に限定的な場合によりますが有効であるとするケースもあります。

「従業員の地位・業務の性質」「ノウハウ等の要保護性」「勤続年数」「競業避止義務が課される期間」「代償措置の有無」等を考慮して有効になる場合もあるのです。
端的に言えば、管理職で重要な企業秘密に関する事案を担当していた場合などは競業避止義務が有効性を持つ場合があるという風に考えたらよいかなと思います。

とは言え、一般的には「職業選択の自由」を制限できるような機密事項を持った従業員の方が少数でしょうから、普通に転職する場合は「競業避止義務」をそこまで気にしなくてもいいでしょう。

競業避止義務違反にならないように転職するには

気にするなと言われても、いざ損害賠償を請求されたりしたら嫌だ・・・という方も多いでしょう。
という訳で、考えられる回避方法をいくつか考えてみましょう。

●業界を変えて転職活動する

それまで勤めていた経験を活かすには、やはり同じ職種で転職したいところでしょう。
直接的に前職の情報を盗んだりしていなければ、とやかく言われる筋合いもありません。
これまでのノウハウを活かして大いに活躍しましょう。

●全く違う職種に就く

これまで開発職だったけれど、営業職として転職活動をするといった具合にこれまでのノウハウや情報を切り捨てるのが一案。
ガラッと職種が変われば同じ業界であっても大した影響はないでしょう。

●地域を変える

前職は九州にしか拠点がなかったけれど、心機一転東京で転職しよう!みたいなケースであれば「競業企業」と見なされないでしょう。

先述の通り、よほど重要なポジションに就いていたとか、開発中の新商品のキーマンだったとかでなければ競業避止義務を気にすることはありません。
しかし、どうしても気になるという場合は専門家(弁護士さんなど)に聞いてみるのが一番でしょう。

競業避止義務がストレスになって転職活動に支障が出るようでは本末転倒です。
最近は副業も解禁されていますし、そろそろ競業避止義務が誓約書から除外されるような日も近いかも知れませんね。

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